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Aerobatics

演技空域(BOX)のイメージ図

地面には上図のような地上マーカーがあり、上空からBOXの端が確認出来るようになっています。

曲技飛行競技とは

 

曲技飛行の競技は、宙返りなどの曲技飛行科目(フィギュア)の正確さと美しさを競い合って行われます。選手は10から15のフィギュアからなる、決められた一連の演技(シークエンス)を空中に設定された1辺が1kmの立法体の演技空域(BOX)の中で飛び、5~7組の審判団がそれを採点します。


審判はシークエンスの中で実施された各フィギュアをそれぞれ10点満点で採点していきます。採点には厳密な基準があり、あるべき角度から5度ずれるごとに0.5点減点するなど細かく決まっていて、10点満点から減点法で採点されます。

例えば宙返りの最後に水平飛行するべき瞬間に針路が10度ずれて10度右に傾いて5度の上昇していたら、減点はそこだけで2.5点、肝心の宙返り部分を完璧に飛んでも7.5点しか取れないわけです。複雑で難しいフィギュアほど減点する場所が多く、複雑なフィギュアではそれほど酷いミスをした訳でもないのに、気がつけば減点が10点を超えてしまって0点になることもあります。

このフィギュアの採点にフィギュアの難易度(K)を掛けた値がそのフィギュアでの得点となり、シークエンスの各フィギュアの得点の合計点数に、全体の印象で加算される印象点を加え、演技空域(BOX)からの逸脱や下限高度の違反、中断などによるペナルティーの減点を行い、総合得点を決定します。

競技クラスにもよりますが、3フライトから4フライトの合計得点で順位を決定します。地上のスポーツではフィギュアスケートが似たような競技形態ですね。

翼を連ねるPitts

 

SportsmanクラスのAssistant Judgeとして働く内海

審判を上級クラスの競技者が行い、参加者が皆で協力して大会を運営するのもIACの大会の特徴です。野晒しの炎天下で採点を行っています(気温40度)

 

Advancedクラスを採点する審判グループ

こういうグループが5~7つ、それぞれ少し離して設置されて、それぞれが競技を採点しています。

IAC (International Aerobatic Club)主催の競技会

日本から最も参加しやすい、IACの曲技飛行競技会について紹介します。

競技クラスは、Primary, Sportsman, Intermediate, Advanced, Unlimitedの5クラスがあり、自分の技術と機体の性能に合せて参加します。Unlimited以外には特別な参加資格はありませんが、通常は安全のためにも下のクラスから徐々にステップアップします。

Primaryクラスは初級者クラスで、スピン、ループ、ロールといったシンプルなフィギュアを無理なく繋いだシークエンスを飛びます。他のクラスと比べて短時間で終わる単純なシークエンスなので、繰り返し競技を行う楽しさが今ひとつ足りないのが欠点です。このため殆どの参加者はこのクラスを一度経験すると、大概はSportsmanクラスにクラスアップしますし、このクラスは飛んだことがない人もいます。

Sportsmanクラスは趣味として競技に参加するのに適したクラスです。一般的な曲技のフィギュア、つまりロールや宙返り、キューバンエイト、インメルマン、ハンマーヘッドなどのエアショーでもお馴染みのフィギュアが10個程で構成されたシークエンスで競われます。

同じシークエンスを3回飛んで競うため、比較的練習時間が少なくても勝てる(かも知れない)こと、デカスロンやセスナ(エアロバット)などの性能が特別高くない機体でも飛べること、などから参加者が最も多く、一番の激戦区だったりします。

Intermediateクラスは文字通り中級クラスです。Sportsmanクラスに比べて複雑で難度の高いフィギュアで構成され、ネガティブGが掛かる演技科目が含まれています。

10から15個のフィギュアで出来た既定のシークエンスを飛ぶKnown、自分でデザインしたシークエンスを飛ぶFree、 そしてシークエンスを前日に渡されて練習飛行なしで本番を飛ぶUnknown、の3本のフライトの合計得点で順位が決まります。

 

Advancedクラスは上級クラス。 シークエンスはかなり難度の高いフィギュアで構成されています。
+/-共に大きなGを伴うフィギュアが含まれるため、高性能機でないと正確な演技が難しく 、参加機の多くがEdge, Extra, Pittsといった高性能機になります。

このクラスも、Known, Free, Unknownの3本で競技する形式で、ほとんどの選手はKnown, Freeをそつなくこなすため、勝敗はUnknownが決することが多くなります。

Unlimitedクラスは最上級クラスです。競技自体はIntermediateやAdvancedと同様の方式で行われますが、難度が高く素早く正確な操作を要求するフィギュアを飛ぶため、高い技術と高性能な機体の両方を求められます。このクラスに参加する場合はFAIのスポーツライセンスが必要です。(Airshowsのページにライセンスの写真があります)

Advanced, Unlimitedクラスの参加機

大会開会式には各国の国旗が並びます

 

FAI (Federation Aeronautique Internationale)主催の競技会

 

日本ではほとんど知られていませんが、曲技飛行競技はヨーロッパでは盛んに行われています。
FAI(国際航空連盟)は、ヨーロッパ選手権、AWAC (Advanced World Aerobatic Championship)、WAC (World Aerobatic Championship)などの国際大会をそれぞれ二年に一度主催しています。開催地は各国役員の投票によって決定されています。

競技会では5クラス同時開催されるIACの競技会とは違い、AWACはAdvanced、WACはUnlimitedと、単一クラスのみの競技となります。国際大会では各国の代表選手が集まりその技術を競います。結果は個人だけでなく団体戦として国別の順位も発表されるため、各国は国の威信を懸けて参加します。各大会には20カ国以上から70人超の選手が参加して競われます。参加する選手は代表に選ばれるために選考競技会で上位に入らなければなりません。日本では公式の競技会が開催されないため、現在は外国の競技会での実績や、個別審査によって代表選考を行っています。

FAIの国際競技会も、基本的なルールや運営はIACの競技会と大きく違いませんが、各国の競技条件が平等になるように、気象条件や飛行順序、演技時間などに細かい規定があるため、IACの大会が参加70人規模の大会であっても通常2日間で終了するのに対して、FAIの国際競技では10日間掛けて競技が運営されます。

10日間の競技期間中、各選手はKnown(既定演技)Free(自由演技)Unknown(練習なしでの演技)を2回と4回の競技フライトを行い、7組の審判団が採点します。

団体戦形式で国の順位も発表されるため、各国代表は国の威信をかけて大会に臨んでいます。このため大会中の強豪国のテントはピリピリとした緊張感に包まれており、会食の際には国ごとの対抗意識が垣間見えることがあります。

国別の成績を競える選手数は3名で、これに満たないと国別の順位を競うことは出来ません。日本の選手を増やして、日本も上位を目指したいものです。

各国のブースにも国旗です
日本ブースにアイルランドが侵攻してきました

選手の育成について

世界選手権に代表選手をコンスタントに日本から送り込み、いつか日本も世界選手権で国別の成績を競えるようにするのが私達の夢です。WP Competition Aerobatic Teamは日本代表チームとして2度AWACに参戦しました。曲技飛行競技は超マイナースポーツですので、参加手続きはもちろん、機体と人材の手配、免許や公式書類の申請から、移動や宿、食事の手配まで全て自分で行う必要があります。競技で飛ぶ以外のところが本当に大変なので、日本から世界を目指して競技をしたいのに諦めた方もいます。私達は私達が持つ経験やノウハウを生かして、競技会に若手の有望なパイロットを送り込めればと考えています。

初級競技者の育成

曲技飛行未経験者と初級者に向けての競技参加サポートです。
米国での初期訓練からIAC競技への参加までをサポートします。安全に曲技飛行を行うため、系統立った基礎訓練をEMTシラバスに沿って行い、その後曲技競技のための専門的訓練を施します。IAC主催の競技会に指導者と同伴して参加し、助言や指導を貰いながら競技に参加します。

Interemediate以下の曲技経験者や競技者にも、現地訓練の手配や競技会への参加のお手伝いを行っています。お気軽にご相談ください。

上級競技者の育成

Yakクラス、Advancedクラス、Unlimitedクラスで世界選手権を目指す選手に向けてのサポートです。
競技での成績を向上するためには、地上からの指導が欠かせません。審判員や上級競技者に地上から演技を評価して貰い助言を受けながら訓練します。優秀なコーチの招聘による国内外でのトレーニングキャンプも行っています。技術水準が一定に達した選手には当チームが国内で運用しているエクストラ300Lを使用した同乗訓練も行います。ヨーロッパや米国の恵まれた訓練環境への紹介も行っています。

​競技者の育成についてご興味がある方は

国内競技会開催への協力

残念ながら日本では競技者が少ないこともあって、国内での競技会は開かれておりません。スポーツとして愛好者を増やすためにも、競技者を育成するためにも国内での競技会開催は私達の悲願です。


2009年11月にRedBullエアレーサーの室屋氏の働き掛けによって、将来の日本選手権を目指した曲技競技会が福島県のふくしまスカイパークで試行されました。私達もこの動きに全面的に協力し、鐘尾が審判長として、内海が審判員として競技会をサポートしました。

こうした競技会を通じて、飛行機や空を身近に感じ、スポーツとしての曲技飛行を楽しむ人が増えてくれればと考えています。

私達は、いつか日本選手権を開催し、そこで世界選手権に参加する代表選手の選考を行えるように努力していきます。

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